ジョゼフの残り香

Tokyo May 2019
令和元年五月、東京

五月のある日、千葉県佐倉にあるDIC川村記念美術館でジョゼフ・コーネルの展覧会をみた。コラージュと箱の作品群の間を、水族館のガラスの水槽を泳ぐ魚のようにグルグル廻って、ジョゼフのメランコリーにどっぷりとつかり、午後、JR総武線と地下鉄東西線で九段下に戻ってきた。

夕方、神保町に上陸し、古書店を路地を巡るうちたどり着いた三省堂古書市で、『闇の展覧会』の二冊セットに、古書 羊頭書房でマンディアルグ『黒い美術館』に相次いで遭遇した。まるで、メランコリーの残り香を嗅ぎつけた古本たちが共鳴したかのようだった。もちろん、攫うようにして買い求めた。

〈観光客の皆さん、ナントご見物のおついでに、「巴里西班牙貴族イダルゴ・ド・パリ」展示場をお見落しなく。右手、階段上、彫像廻廊わき。〉

アンドレ・ピエール・ド マンディアルグ「ポムレー路地」生田耕作訳
André Pieyre de Mandiargues, “Le passeage Pommerave”

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