![Finnair cabin crew, Helsinki airport 2012](https://i0.wp.com/studiopuukko.com/wp-content/uploads/2020/01/R0019159-500x332.jpg?resize=500%2C332&ssl=1)
フィンランドの国民学校にOttoという名前の同級生がいた。Ottoは高校を卒業したばかりで、英語を流暢に話す、育ちの良さそうな青年だった。
12月のクリスマス休暇直前の週末、Ottoと彼のご両親が、ぼくとうちの奥さんをエスポーのご自宅に招待してくれた。Ottoのお母さんはフィンエアーの元キャビンクルー。お父さんは日本とも関わりのある貿易の仕事をしていた。日本の文化や伝統に興味にある親日一家だった。
そのご両親にヘルシンキのレストランでランチをごちそうしていただいたときのこと。連れて行ってもらったのは、おしゃれな雰囲気のアジア料理のレストランだった。みんなで同じものを食べようということになり、ぼくとうちの奥さんがランチ用のお品書きからカレーライスを選んだ。
テーブルには西洋のカトラリーと日本の箸もセットされていたが、箸は手前に横向きにではなく、スプーンやナイフとともに、縦向きに置かれていた。ぼくは箸を横向きにして手前に置き直した。
中国や韓国ではどうか知らないが、日本では箸は手前に横向きに置く。手を合わせて「いただきます」と言って、横向きの箸を手に取り、自分と食べ物の間に引かれている境界線を越えていく。 その一連の所作に、日本人の食べるという行為に対する文化的な意味合いが反映されている、たぶん。
ところで、カレーライスが運ばれてきたとき、ぼくとうちの奥さんは迷わずスプーンを手に取った。一方、Ottoとご両親は少し考えてから箸を手にしていた。テープルを囲んで、日本人はスプーンで、フィンランド人は箸でカレーライスを食べた。
Ottoは少しぎこちなかったが、お母さんは箸の使い方がとても上手だった。さすがフィンエアーの元キャビンクルー、基礎が違う。Ottoのお母さんは、上空勤務から地上に降りて、若手の育成を担当していた。フィンエアーのキャビンクルーは、きっと箸の使い方が上手に違いない。
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