![Suomen Kansallisooppera Helsinki Finland 2006](https://i0.wp.com/studiopuukko.com/wp-content/uploads/2018/06/fi05sH041-007-300x200.jpg?resize=300%2C200&ssl=1)
私は地図帳(アトラス)とともに大きくなった。地図帳好きの子どもの例にもれず、むろん、外国には一度も行ったことがなかった。クラスのある女の子が、ほんとうにヘルシンキで生まれたのだとは、たとえパスポートにそのとおり記してあるのだとしても、信じられなかった。H-e-l-s-i-n-k-iーその8文字が、私にとって別世界への鍵になった。
『奇妙な孤島の物語:私が行ったことのない、生涯行くこともないだろう50の島』ユーディット・シャランスキー 鈴木仁子 訳 河出書房新社
Atlas der abgelegenen Inseln: Fuenfzig Insel, auf denen ich nie war und niemals sein werde: Judith Schalansky
ヘルシンキのホテルで宿泊拒否にあいそうになったことがある。中央駅近くにあるホステルのような小さなところでの、ちょっとした出来事だったが、いまだに印象に残っている。
受付カウンターでは、色白でヒョロっとしたメガネのあんちゃんが一人、ぼんやりとテレビを見ながら番をしていた。
予約していた者ですが、と声を掛けると、IDの提示を求められ、そこでパスポートを携帯していないことに気がついた。当時住んでいたKarjaaにある国民学校の学生宿舎においてきてしまったのだ。
慣れというものは恐ろしい。はじめてフィンランドを訪れたときは、ビクビクして、どこへ行くにもパスポートを握りしめるように持ち歩いていたのに、たった一年ちょっとで、このありさまだ。
IDがないなら泊めることができないかも、と宿泊拒否権をチラつかせる態度と、そもそも外国人(特にEU圏外)がパスポートなしでホテルに泊まろうというのはどのような了見なのか、と嫌味っぽく問い詰められた。
こちらも言い返したがパスポートなしでは分が悪い。途中から非を認めつつ、あんちゃんのご機嫌をなだめる低姿勢の戦法で交渉した結果、なんとか泊めてもらうことができた。
フィンランドにいたときは自分は外国人だったんだ。今は、なんだかそのことが妙に懐かしくて、不思議でしかたがない。
![にほんブログ村 海外生活ブログ フィンランド情報へ](https://i0.wp.com/b.blogmura.com/overseas/finland/88_31.gif?resize=88%2C31&ssl=1)
![人気ブログランキング](https://i0.wp.com/blog.with2.net/img/banner/banner_12.gif?resize=80%2C15&ssl=1)
![じつぷり](https://i0.wp.com/studiopuukko.com/wp-content/uploads/2015/03/IMG_0014-.jpg?w=1276&ssl=1)
この翌年に住むことになるヘルシンキでは、市からソーシャルセキュリティー番号を発行してもらったが、やはりパスポートが本人確認と在留資格の強力な証明であることには変わりなく、しばしばパスポートの提示を求められた。
コメント