短篇小説

#005 フィリップ・K・ディック 「猫と宇宙船」、猫の名前はノーマン

猫の肉球は、パソコンのキーボードとかリモコンのボタンを正確に打つようにはできていない。だから間違いもおこるし、飼い主にとっては不都合だ。その類のものは猫から遠ざけなければならない。これが実はなかなか難しい問題なのだ。フィリップ・K・ディック...
フィンランド

アールト大学(Aalto University) の「鉛筆と紙」

View from TAIK / Helsinki 2005かつて、TAIK(タイキあるいはタイク)と呼ばれていたヘルシンキの美術大学(現在はフィンランドを代表する建築家でデザイナーでもあった、Aalto の名前を大学名にしている)がある。...
日々

祖父母の冷蔵庫に残っていたヤクルト

ヤクルトの空になった容器近所に住んでいた祖父母の家には、狭い台所に小さな冷蔵庫があった。そこにはいつも、少しだけ期限切れになったヤクルトが何本も残っていた。子供の頃、遊びに行く度に「冷蔵庫の中にヤクルトがあるで、全部飲んでくれんかな。残して...
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フィンランド

ヘルシンキ空港における入国審査官とのスモールトーク

Tampereen Kauppahalli Finland 2004 チューリヒ発の飛行機を降り立った客は十人ほどだったというのに、リングウェイ空港で荷物が上がってくるまでに小一時間、それから税関を出るまでにさらに一時間がかかった。というの...
フィンランド

マンネルヘイミン通りのストーリーテラー

Helsinki 2006 僕は外国にいると、見知らぬ人からよく声をかけられる、ような気がする。不慣れな外国で、突然声をかけられるので驚くのだけれど、そのことで嫌な思いはしたことがない。むしろそこに住む人々との偶然に発生するちょっとしたコミ...
短篇小説

#004 ピエール・ガスカール「小さな広場」、指先でぷにゅっとしたくなる

新明解国語辞典 第五版(小型版) フランスの小説家、ピエール・ガスカールの短編小説「小さな広場」を読んでいたら「膕」という漢字がでてきた。ぼくはよく彼女の通り道で土いじりをしていたので、彼女の踵が顔すれすれに土を踏みしめたり、黒いスカートが...
日々

堀田善衛「プロクルステスの寝台」 『天上大風』所収 ちくま学芸文庫

天上大風ある作家との出会いがいつだったかをはっきりと憶えている場合がある。もちろんその作家が書いた書物を通してという意味で。例えば、コナン・ドイルとは、小学6年生の夏休みに、6才ぐらい上の従兄弟の本棚に『シャーロック・ホームズの冒険』を偶然...
フィンランド

シェイクスピア劇のような結末、日本 2-1 イングランド

今朝の9時頃、すでに蒸し暑くなり始めた空気のなかフウフウいいながら今日することや予定を確認しているところへ、フィンランド人の恩師、S.G.からメールが届いた。
日々

グレー色の空

keskiharmaa色という色、形という形がパールグレーの靄(もや)に溶け、明暗も色の濃淡も失われて、輪郭の定かならぬ、光だけが息づく階調が存在するようになるのです。すべてがおぼろに霞む中で、ほんの一瞬なにかの影がふっと浮かび上がるー今で...
フィンランド

フィンランド語の先生、Maijaさんに褒められた反省文

Lärkkulla 2005 KarjaaにあるLärkkullaというKansanopisto(フィンランドの国民学校)に住みながらフィンランド語と英語を習っていたことがある。初級フィンランド語のクラスでは、学生たちの年齢は、10代後半か...
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