フィンランドのpb問題

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フィンランドのpb問題、といっても財政の話ではない。フィンランド人の英語の、“b”が”p”にすり替わってしまう問題だ。

bed→ped、blanket→planket、badge→padge、The Beatles→The Peatles、Jeff Beck→Jeff Peckといった具合だ。個人差はあるが、ほぼすべての”b”が”p”に置き換わる。これは話し言葉だけでなく書き言葉でも同じだった。慣れてしまえば問題ないが最初は混乱した。

“b”で始まる単語は、ほぼ西欧由来か固有名詞と思って間違いなさそうだ。”b”はフィンランド語のフォネティックにはない音声なのかもしれない。

ちなみに、bankはフィンランド語でpankiというが、「もう”p”でいいんじゃねーの」となって、正式にフィンランド語として加入を認められた事例ではないかと思う。古来、フィンランドには「金貸し」の概念がなかったのかもしれない。良くも悪くも。

それに、”p”と”b”は見た目も似ている。小文字の”b”を垂直方向にフリップすると”p”になる。なにかこの辺りに、外来のものが土着化する際の、一筋縄ではないフィンランド人のしたたかさを感じる。

フィンランド語の”b”に対する扱いは辞書にはっきりと現れる。手元にある芬英辞書の”b”の項目は2ページしかない。単語数を数えてみたら、87個しか載っていなかった。ついでに単語中の”b”についても、しばらく辞書をパラパラめくって探してみたが見つけることは出来なかった。“b”に対する憎しみすら感じる。深読みし過ぎだろうか。

フィンランド人と英語で話すうちに、自分の話す英語から、どんどん”b”が脱落し”p”に置き換わっていくのがわかった。わかっちゃいるけどやめられねぇ。その方が発音しやすいと感じたし、誰も気にも留めない。最初はいちいち言い直していたが、そのうち面倒くさくなってやめてしまった。

これが、Finnglishというやつだろうか。だから僕の話す英語は、もともと下手なJapanglishにFinnglishを加味した、ちょっとややこしいカスタマイズになってしまった。それに最近は、英語を話す機会がほとんどないのでどんどん錆びついていく。仕様のないことだけれど。

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じつぷり
じつぷり

芬英辞書で一番少ない項目は”c”から始まる単語で、13個しかなかった。19個の”ö”よりもさらに少ない。


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