短篇小説

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#021 パトリシア・ハイスミス「すっぽん」、小学生男子のお母さんにおすすめ

Patricia Highsmith, "The Terrapin" ヴィクターは11歳。ニューヨーク三番街にあるペントハウスアパートの18階で、絵本の挿絵画家のママと二人で暮らしている。10月のある...
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#020 レイ・ブラッドベリ「階段をのぼって」、子供だった時のまま待っている

夜、畳に敷かれた布団に入り左側にからだを向けると、すぐ眼の前にガラスのふすまがあった。ガラスには宇宙の星々を思わせる模様があり、入側の外の街灯の光がガラスの星々の背後に重ねて映す庭木のゆらぐ影を、ぼんやりと眺めているうちに、ぼくは眠りに落ちるのだった。
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#019 H・E・ベイツ「歌う猫」、猫のスージーが歌うシューベルト

そしてついには、すりつぶして油でいためた玉葱とソーセージ、アップルパイとクリームといった盛りだくさんな昼食をとったあと彼のアパートの古い揺り椅子にかけたまま眠りこみ、ふと目覚めると、飼い猫のスージーが...
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#018 車のダッシュボードに備えておきたい本、フリオ・コルタサル「南部高速道路」木村榮一 訳

Saab 900 on snow / Ylinen Finland 2004 福井県の国道8号で大雪のため約680台もの車が立ち往生し、身動きが取れない状態になったというニュースをきいて、フリオ・コル...
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#017 記憶の層にはさまる斎藤、カフカ『変身』高橋義孝 訳

Kallio Helsinki 2012  グレゴール・ザムザがある朝のこと、複数の夢の反乱の果てに目を醒ますと、寝台の上で自分がばけもののようなウンゲツィーファー(生け贄にできないほど汚れた動物或い...
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#016 ディケンズに長期勾留される男たち、イーヴリン・ウォー「ディケンズを愛した男」中村融 訳

Helsinki 2006 「虫や蟻を寄せつけずにいるのはたいへんなんだ。二冊はだめにされてしまった。でも、ある油の作り方をインディオたちが知っていて、それが役に立つ」マクマスター氏は手近の包みをほど...
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#015 サキ「スレドニ・ヴァシュタール」、口うるさい女性に対する無口な反逆

Ylinen Finland 2003 病弱で奔馬のような想像力の持ち主である10歳の孤独なコンラディンが、従姉で保護者の口うるさい「あの女」ミセス・デ・ロップに「絶対内緒」で飼っていたもの、それはフ...
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#014 須賀敦子「わるいまほうつかいブクのはなし」、ほんとうのことを好きになる

世の中にはいろいろな規則がある。立場主義者が従っているのが東大話法規則であるならば、わるいまほうつかいになるために守らなければならないのが、この短い話に出て来る、五つのきそくである。 ブクが死ぬことに...
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#013 スワヴォーミル・ムロージェック「象」、ポーランドにおける東大話法の一事例

最近「東大話法」という言葉を最近知った。「自分の信念ではなく、立場に合わせた思考を採用」し、「自分の立場に沿って、都合の良い話をする」無責任で欺瞞的な話術のことだ。 高級官僚や政治家、大手マスコミ、財...
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#012 レオノラ・カリントン「最初の舞踏会」澁澤龍彦訳、元祖・残酷不思議ちゃん

東山動植物園 社交界デビューが嫌でしょうがない、不思議ちゃん「あたし」。デビューの舞踏会を動物園のハイエナに代わってもらおうというアイデアを思いつく。ハイエナもそのオファーを二つ返事で引き受ける。 社...
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