積読の耐えられない面白さ

日々
美しい水死人―ラテンアメリカ文学アンソロジー (福武文庫)
美しい水死人―ラテンアメリカ文学アンソロジー (福武文庫)

『美しい水死人 ラテンアメリカ文学アンソロジー(福武文庫)』は、去年の秋の神田古本市で購入してから少し読んで積読のままになっていた。

最近、一年近くたって本棚から引っ張り出し、なんとなく安部公房の短篇と交互に読む。積読の耐えられない面白さだ。わかってはいたけれど。

安部公房の「人魚伝」などは、そのままラプラタ幻想として通じるのではないかと思った。ラプラタというのは単に地理的なことだけではなく、体質のことでもあるかもしれない。

それにしても、積読せずに読んでいたら、安部公房と交互に読むなんてことはなかっただろうし、こんなことは考えなかっただろう。

そういう意味で、積読した甲斐があったともいえる。これを「積読効果」という、かどうか。ともあれ定価の約2.5倍の値段もしたにも関わらず、しばらく積読しておいてよかった。

元になっているのは、サンリオ文庫のガブリエル=マルケス『エバは猫の中―ラテンアメリカ文学アンソロジー』だ。そこから作品の一部を差し替えて福武文庫から出版された。

なぜかガルシア=マルケスの短篇「エバはの中に」は『青いの目―死をめぐる11の短篇(福武文庫)』の中に、収められている。『青い犬の目~』もその古書市で買って積読中だ。

犬にせよ猫にせよ、こんな面白い本が古書でしか入手できないのは残念だ。


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