Kansanopisto

フィンランド

ヒゲと自由

トランシルヴァニアのどこかで、怪人ドラキュラは棺の中で眠り、夜が来るのを待っていた。太陽光線にさらされると、たちまち体が朽ち果ててしまうため、家名を銀の文字で入れ、サテンの裏張りをほどこした密室の中でこうして息をひそめているのだ。やがて最初...
フィンランド

桟橋には行かなかった

Finland 2004 2004年の春先だったと思う。週末のある夜、学生寮のキッチンでお湯を沸かしていると、写真学科で同級生のNelliがやってきた。かなりの上機嫌だ。ビール瓶を手にしている。 狭いキッチン内でズイッと近づいてきた。「何を...
フィンランド

ノーザンライツには届かなかった

Finland 2004 オーロラが空全体を覆い尽くす妖艶なまでに青い燐光を帯びて天空を変幻自在に揺れ惑う夜の巨大なカーテン霊妙な命をほとばしらせて舞い踊る巨大な光の蝶高柳誠『放浪彗星通信』書肆山田 2017 フィンランドのタンペレ郊外にあ...
スポンサーリンク
フィンランド

他力による扉ひらけ

フィンランドのバス停では、自分が乗るバスが近づいて来たら、手を挙げてバスの運転手に合図を送り、乗車の意思を伝えなければならない。だれも手を挙げず、かつ、降りる人がいなければ、バス停に人がいてもバスは通り過ぎる。
フィンランド

ViiliとUkkoneの老婦人話

フィンランドにあって日本で見かけない食べ物がある。フィンランドのスーパーマーケットでは乳製品の冷蔵棚に出向けば必ず見つけることができるその発酵食品と出会ったのは、フィンランドを初めて訪れたときのことだった。
フィンランド

効率的な週末の買い出し

Hedelmävaaka ぼくと妻がお世話になっていたタンペレ郊外のKansanopistoでは、金曜日の午後になると授業はほとんどなかった。日本の土曜日のような感覚だ。 ふだん寮に住んでいる学生たちは金曜日には昼食も食べずに、いそいそと実...
フィンランド

KarōshiとAvantouinti

Hanko Finland 2003 「日本では働きすぎで死んでしまう人がいるって聞いたけど、本当なの?」留学先のフィンランドで受講していた英語クラスで、先生のEricaさんが、ロシア人、リトアニア人、ウクライナ人、中国人そしてフィンランド...
フィンランド

アメリカ大統領選挙のLとR

Finland 2004  彼はまたこうも言った。「歌手にとってもっとも重要なのは、rの発音だ。もしそれをきれいに発音できれば、その歌手はすでにそれだけで、変な言い方かもしれないが、最悪の歌手よりはましなのだ」。 『グスタフ・マーラーの思い...
フィンランド

第一印象

TELAKKA Tampere Finland 2006 ある人や場所に初めて出会って、その印象や状況をよく覚えていることがある。第一印象だけで何かを決めつけてはいけない、ということを歳を重ねて学んできたはずだが、ささいなことやどうでもいい...
フィンランド

Lärkkullaの暗室

Karjaa(Karis) Finland 2004 僕ら夫婦は、足かけ3年間ほど学生としてフィンランドに滞在していた。1年目に、タンペレ郊外にあるkansanopisto(フィンランドの国民学校)で、モノクロプリントや古い写真技法などを学...
スポンサーリンク