DJではないけれど、PIONEER PLX-1000

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PIONEER PLX-1000
PIONEER PLX-1000

カートリッジが決まったら、次はターンテーブルだ。欲しい機能・性能を伝え、店長さんが在庫の検索にとりかかる。すぐに、YAMAHAのGT-2000とTechnics SL-1200がiMacのモニター上に現れた。どちらも素敵だ。でも予算が大幅にオーバーする。そのうち買えたらいいな、とは思うが。

モニターから目を離し、あらためて現実の店舗内を見渡すと、ライカM5ブラックのような、精悍なスタイルのターンテーブルが目に留まった。

値札が付いていない。売約済みかと思い、これは何ですか? 販売しているのですか?と尋ねると、PIONEERですね。販売していますよ。試しに聴いてみましょう、と言って、先程のDL-103をヘッドシェルに取り付け、手際よくターンテーブルをセッティングしてくれた。

ここへ来る途中、中古レコード店で買った松任谷由実の『VOYAGER』をおっかなびっくり差し出す。高級感のあるオーディオが所狭しと並ぶ店内に、ユーミンの「ガールフレンズ」が大音量で響き渡る。おもいのほか店の雰囲気にあっている。

続いて、店頭の試聴用レコードから竹内まりやの『リクエスト』(1987年版)を聴く。80年代の気分が一気に蘇る。それでもぜんぜん古びていない。プロデューサーは山下達郎、さすが達郎、いい仕事をしてる。

促されて、ほぼ四半世紀ぶりにターンテーブル上のLPに針を乗せたとき、腕がプルプルしてしまったのは、ヘッドシェルの指かけをつまんでしまったからだ。指かけの下に指を引っ掛けて、そのまま軽く持ち上げるとブルッとしませんよ、と店長さん。

藤原真理のチェロによる『白鳥・夢のあとに』、 エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロング の『エラ・アンド・ルイ』などが次々とターンテーブルに乗った。

ポリ塩化ビニール製の黒い円盤がクルクルと回り、針先が溝をなめらかにトレースしていく。店の豪華な再生システムの音と、自宅の音が同じなわけがないのはわかっているが、レコードの再生音にしっかり心をつかまれてしまった。

DJ仕様のようですが、通常のリスニングとしても全く問題ありません。前のオーナーもDJではありませんでしたから。それに、このパイオニアのはテクニクスのより2キロも重いんですよ。店長さんはそう言って、あっ、それからレコードクリーナーと針クリーナーもごいっしょにどうですか、絶対必要ですから、とニッコリ笑った。


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