猫の顔は、まっぷたつに割れていた 片側は白く、片側はまっ黒だったのだ。黒と白をわかつ線はたいらな額のてっぺんから鼻の頭を抜けて口まで、一直線に走っている。
スティーヴン・キング「魔性の猫」白石朗 訳(『夕暮れをすぎて』所収)文春文庫 The Cat from Hell: Stephen King (1977, Cavalier)
猫にも色々あるけれど、このハチワレ猫はかなりエグい。人間の方も相当なワルだが、この猫の残虐さは原題(The Cat from Hell)通り、まさに地獄からやってきた猫だ。
こういう、バカバカしいほどの残虐描写が個人的にスティーヴン・キングがあまり好きになれないところだが、猫が人間に対して行うぶんには不思議と嫌悪感が少ない気がする。
キングは犬と猫とどっちが好きだったのだろう。実際は知らないが、なんとなく猫よりも犬が好きだったのではないだろうか。
猫好きで有名だったフィリップ・K・ディックの猫ものと比べてみるのも面白い。
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