日々 落葉コレクション Helsinki 2005このたびは幣も取りあへず手向山紅葉の錦神のまにまに菅家近所の公園で女の子たちがぶらんこを漕いでいた。フラゴナールの絵画ではないけれど、木漏れ日の陰にキューピッドがひそんでいそうな光景だった。その傍らに自転車があって... 2019.11.26 2023.03.12 日々
短篇小説 #030 ジュンパ・ラヒリ「セクシー」、粉のかけ方に感心した Helsinki 2012一月のある日、ボストンのデパート〈ファイリーンズ〉の化粧品売り場で、客としてたまたま居合わせた男が、若い女に粉をかける。ミランダは二十二歳。大学卒業後、故郷のミシガンを離れ、ボストンの公共放送のラジオ局に勤めている... 2019.11.22 2023.11.08 短篇小説
日々 毎朝シンディ Jyväskylä 2012うちの奥さんは、 本人は全く気づいていないようだが、毎朝、固くなったジャムの瓶の蓋を開けるときシンディ・ローパーの顔になる。そのことを言わずに20年以上経ってしまった。せっかくなのでもうしばらく黙っていようと思う... 2019.11.22 2024.10.15 日々
収録作品 収録作品:ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』(新潮クレスト・ブックス) 小川高義 訳 A Temporary Matter by Jhumpa Lahiri 停電の夜にA Temporary Matterピルザダさんが食事に来たころWhen Mr. Pirzada Came to Dine病気の通訳Interpreter o... 2019.11.22 2023.11.09 収録作品
フィンランド フィンランドの舞姫 「そうらみろや、息がなくても虫は生きているよ。あれをみろ、そげた腰のけむり虫がこっちに歩いてくる。あれはきっと何かの生まれ変わりの途中の虫であろうな。」 土方巽『病める舞姫』白水社「子供のころ、マイケルが大好きで、彼の音楽に合わせてよく踊っ... 2019.11.19 2024.05.06 フィンランド
フィンランド フィンランドの岩魚釣りで失われたミミズ Juhannuspäivä 2006 あそこで釣りをしたのは、たった一度だけ。 持っていたのは30/30のウインチェスター銃だけで、釣具はなにも持っていなかったから錆びた古釘を見つけてきて、それにわたしの幼年時代の亡霊のような白い糸を結びつ... 2019.11.08 2022.05.12 フィンランド
日々 等比級数の回送電車 Night Tram Helsinki 2005同年代の友人に尋ねてみた。 ─時間が経つのが速く感じない? ─感じる。 ─ひょっとして太陽系になにか異変があって、地球の回転速度が上がっているんじゃ……。 ─歳だよ。 ─やっぱりそうか、ふう。... 2019.10.23 2024.03.06 日々
短篇小説 #029 おぬまたんのミステリ、小沼丹「黒いハンカチ」創元推理文庫 Voionmaan opisto Finland 2003「こぬま」ではなく「おぬま」。「おぬまたん」とひらがなで記すと、どこかの地方のゆるキャラみたいだけれど、小沼丹は日本の小説家だ。「黒いハンカチ」は、五月の好く晴れた日に、シューベルト... 2019.10.17 2023.11.08 短篇小説