ORIONという映画館がヘルシンキにある。フィンランドのフィルム・アーカイブがコレクションした古今東西の名作映画を上映する映画館だ。日本の映画も数多くアーカイブされている。
黒澤明の映画をはじめて観たのもこの映画館だった。 黒澤明はフィンランドでも尊敬されていて、黒澤の特集が組まれたとき(2006年頃)には、どのプログラムも超満員だった。黒澤映画をほとんど観たことがなかったので、まとめて観ることのできるちょうどいい機会だった。
A beautiful art deco cinema which opened its doors in 1928 has 216 seats and modern technology to suit today’s screening demands.
Orion
Address: Eerikinkatu 15, Kamppi, Helsinki
入場料は当時、4ユーロぐらいだった。現在(2015年)はちょっと値上がりしているようだ。ORIONのウェブサイトによると、大人が6.5ユーロ、子供が3ユーロとのこと。日本円で900円ぐらいになるのだろうか。ヘルシンキの美術学校の映画学科の学生は、無料でORIONで映画を観ることができた。僕は写真学科だったのだけれど、映画学科のフィンランド人の友人の J.R. といっしょに行くと、切符の窓口係によっては(運が良ければ)無料になることがあったので、よくJ.R. の後についてORIONに映画を観に行った。
ORIONでイタリアの映画監督、パゾリーニ特集があったとき、僕とうちの奥さん、日本人の友人、そして J.R. とで映画を観た。夜10時頃に上映が終了し、帰宅する前に何か飲んでいこうということになり、近くのCoronaというバーに入った。このバーはフィンランド人のミカとアキのカウリスマキの兄弟が設立に深く関わっているらしい。壁にはマッティ・ペロンパーの肖像画が掛かっていた。
Corona bar & billiard –Bohemian nightlife in the heart of Helsinki
Corona bar has achieved almost a cult status only in a few decades. Corona bar, founded by Kaurismäki brothers, is a New York-style relaxed streetbar with a pool-hall, located in Helsinki city-center.
Corona bar takes a good care of its customers from early in the day till late at night. Corona serves coffee, refreshments and probably the best toasts in Helsinki, every day of the week and all around the year.
Corona bar & billiard
テーブルについて、ビールでもと、いきたいところだったが、みんなほとんどお金をもっていなかった。僕たち三人の日本人は一番安いティーバッグの紅茶を頼み、J.R.は、お湯だけを頼んで僕と紅茶のティーバッグをシェアして、薄い紅茶を飲んだ。店の人にはちょっと悪いなと思ったけれど、そんな風に紅茶を飲むのも楽しい気分だった。
そういえば、アキ・カウリスマキ監督の『過去のない男』でも、主人公の男(マルック・ペルトラ)が喫茶店に入って、貧乏なのでお湯だけを注文し、出がらしの紅茶のティーバッグをひたして飲むシーンがある。僕達も貧乏そうに見えたのか、バーの人も「全然問題ないよ」と言ってくれた。それ以来、Coronaには行っていない。次にヘルシンキに行くことがあれば、この店自慢のヘルシンキで最高に美味しいとされているトーストをJ.R.と食べてみたい思っている。
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