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ライムストーン線

フィンランド
Vuosaarenhuippu Helsinki 2005
Vuosaarenhuippu Helsinki 2005

Yの字を右に傾けたような形をしたヘルシンキ地下鉄の路線図で、右下端の終着駅であるVuosaari駅から、北に徒歩1時間ぐらのところに、ライムストーンの古い採石場がある。

そこを見たあと森を抜けると、いきなり視界が広がった。岩盤が綺麗に削られて、ライムストーン含有率の高そうな、白っぽい壁面に囲まれた巨大な凹型の道が現れた。

2005年10月頃、開発が始まって間もない頃のヘルシンキ東部、Vuosaariの沿岸近く。現在は港湾区域と内陸部を結ぶ鉄道が走っているようだ。自然環境の保護にはうるさそうなフィンランドだが、やるときはやる。

ホレショヴィツェ駅の荒涼としたプラットホームになかば放心状態でたたずんでいたこと、線路がどちらの方向にもはてしなく遠くのびていたこと、眼に映ることごとくが朧にばやけていたこと、そして列車では通路の窓にもたれて、車窓を過ぎる北の地の郊外を、ヴルタヴァ河の河川敷と対岸の屋敷や四阿の数々を、眺めていたことを憶えています。河のかなたに廃山になった巨大な石切場があるのが見えました。

W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』鈴木仁子 訳 白水社
W. G. Sebald, “Austerlitz” 2001
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