ジム・ジャームッシュの映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』のヘルシンキ編冒頭部分。マッティ・ペロンパーが運転するタクシーが、冬の早朝5時過ぎに大聖堂前の広場をぐるぐる走り回るシーンがある。
運転手の眠たげな表情のまま人生が過ぎていくかのように、タクシーは広場の円にそって、フィンランドのラウンドアバウトとは逆方向の、時計回りに何周かぐるぐると走る。
大学を卒業したばかりの頃、名古屋の映画館で観た。その映画の撮影場所と同じところに、いつか自分が立つことがあるとは想像しなかった。およそ12年後、この大聖堂の階段の上に立ったとき、映画のことはまったく覚えていなかった。
大好きな映画の何度でも見たくなる。 アキ・カウリスマキ映画ではおなじみの、よれた男優たちがジム・ジャームッシュ監督のもとでいい味を出している。女性配車係のささやくようなフィンランド語のトーンがたまらなく好きだ。
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