2018-10

日々

財務官僚は吉野家の牛丼を食べるか?

余は玉ねぎの尊崇されている東方の一地方を見たプリニウス「博物誌」 澁澤龍彦「陽物神譚」のエピグラフ(『犬狼都市』所収)福武書店 先日、神保町の吉野家に入ったのは、たぶん三年ぶりかそれ以上になる。古書まつりでごった返す神保町にて、独りで手っ取...
短篇小説

#023 アイザック・アシモフ「ハロウィーン」、十階の万聖節前夜

ハロウィーンの日に箱に入っているのはお菓子だけであって欲しいものだが、そうとも限らない。
短篇小説

#022 ジュンパ・ラヒリ「ピルザダさんが食事に来たころ」、ハロウィーンのプルースト

Tampere Finland 2003 小津安二郎の映画のような低い位置にあるリリアの目線が、ピルザダさんの扁平足と蟹股の脚を映し出す。加えて、シャーロック・ホームズの観察眼で、コートのポケットに樺や楓の葉っぱを発見し、靴の爪先や踵に付い...
短篇小説

#021 パトリシア・ハイスミス「すっぽん」、小学生男子のお母さんにおすすめ

Patricia Highsmith, "The Terrapin" ヴィクターは11歳。ニューヨーク三番街にあるペントハウスアパートの18階で、絵本の挿絵画家のママと二人で暮らしている。10月のある土曜日、二人の間に決定的な亀裂が生じる。...
フィンランド

桟橋には行かなかった

Finland 2004 2004年の春先だったと思う。週末のある夜、学生寮のキッチンでお湯を沸かしていると、写真学科で同級生のNelliがやってきた。かなりの上機嫌だ。ビール瓶を手にしている。 狭いキッチン内でズイッと近づいてきた。「何を...
日々

犬がニコニコ笑っていた

Jyväskylä 2005 近所で柴犬が散歩していた。飼い主の中年女性はうつむいてスマホをいじっている。 犬がこちらを見上げた。ニコニコ笑っている。なんか嬉しい。しっぽを振ってこっちにこようとする。そばにいくとズボンに前足をかけてきて、上...
フィンランド

ノーザンライツには届かなかった

Finland 2004 オーロラが空全体を覆い尽くす妖艶なまでに青い燐光を帯びて天空を変幻自在に揺れ惑う夜の巨大なカーテン霊妙な命をほとばしらせて舞い踊る巨大な光の蝶高柳誠『放浪彗星通信』書肆山田 2017 フィンランドのタンペレ郊外にあ...
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