よく行く中古レコード店の新着コーナーに、ストリート・スライダーズのJAG OUTのLPを見つけた。
スライダーズは、自分が高校から大学を卒業する頃までよく聴いていたが、その後ほとんど聴かなくなっていた。
久しぶりに聴いて、懐かしいのと同時にとても新鮮に生々しく聴こえた。当時聴いていたCDではなく、初めてレコードで聴いたからというのもあるかもしれない。
ほぼ30年ぶりにA面1曲目からB面最後の10曲目まで通して聴いて、最も印象的だったのは、B-4の《one day》だ。
HARRYの放り投げるような歌い方と、背中にまとわりつく風のように鳴り響く、蘭丸のヴォリューム奏法を多用した気怠いストラトキャスターの旋律。
いつだって どこだって おなじ
けだるさが つきまとうのさ
けれどひとつだけ
いつもひとつだけ みえるのさ凍りついた 駅に降りて
《one day》(B-4) Written by Hiro Murakoshi, THE STREET SLIDERS, JAG OUT (1984)
おまえのいる街まで
通り過ぎた 背中に今
流れる風を知った
「いつもひとつだけ みえる」のは、ひょっとしてもうこの世にはいない「おまえ」なのだろうか。この曲にはオイラもBabyもいない。「おまえのいる街」への追憶のイメージが横溢した、悲しく寂しく美しい曲だ。風と時の蟄居系吟遊詩人HARRYの、ストリート・スライダーズの傑作だと改めて思った。
このアルバムのレコーディング中、山下達郎がスタジオを見学に訪れたというのは本当だろうか。気になる。
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