恋愛
#043 フリッツ・ライバー「バケツ一杯の空気」、世界終末後のラブストーリー
Snowing night, Joulukuu Finland 2003 世界の終末後を描くポスト・アポカリプスものといったら、真っ先に思い浮かぶのがこの短篇小説だ。 だしぬけにあらわれた暗黒星が太陽から地球を奪い、太陽系の限界集落まで連れ...
#041 ロバート・F・ヤング「九月は三十日あった」、ヤングのSeptember Love
ロバート・F・ヤング「九月は三十日あった」伊藤典夫訳 時は2061年、学校教育が完全民営化され、学校や教師が絶えて久しいアメリカ。春のある日、妻子ある男が会社帰りに学校教師を買って帰る。 ダンビーは古道具屋のウィンドウで「学校教師」を見初め...
#040 H・E・ベイツ「ロスト・ボール」、ビリー・ホリデイを聴きながら
伊勢湾 2018 隣接するゴルフコースから、ロストボールを探しにきた男、フィリップス(52才)は、海辺の砂丘で、白い砂のくぼみに埋まるように、全身をちぢこめて横になっている若い女に遭遇する。 朝から一日中ここにいたけれど、ゴルフボールなど見...
収録作品:矢作俊彦『ブロードウェイの自転車』光文社
装幀・本文カット 大島弓子 ブロードウェイの自転車 ランクA フィルムのように 誰がリヴァティ・バランスを殺そうと ペニィローファーはもう沢山 レノックスヒル・ホスピタル モーニング・サイドを夜に向かって イエロウキャブを呼んでちょうだい ...
#033 矢作俊彦「ブロードウェイの自転車」、ジョン・レノンとペリエだけわかった
コロンムバス・アヴェニュー、72丁目、”タバーン・オン・グリーン”のチョコレート・ムース、アカスキュータムの本店で買ったコート、”サヴォイ”のマーティニ、ジョン・レノン、ペリエ、ミュスカデ、シュリッツのライト、ソーホー・ニューズ、
#031 半音階の和音のように、H・E・ベイツ「クリスマス・ソング」大津栄一郎 訳
雨の降るクリスマス・イヴの午後4時、レコード店の二階で声楽を教えるクララのもとに、一人の青年が訪れる。茶色のオーバー、茶色のソフト、こうもり傘、という出で立ちの青年は「クリスマス・ソング」を探している。
収録作品:H・E・ベイツ『クリスマス・ソング』大津栄一郎 訳(福武文庫)
A Christmas Song by H. E. Bates クリスマス・ソングA Christmas Song 軽騎兵少佐The Major of Hussars 水仙色の空The Daffodil Sky 豊穣の麦The Good C...
#030 ジュンパ・ラヒリ「セクシー」、粉のかけ方に感心した
Helsinki 2012 一月のある日、ボストンのデパート〈ファイリーンズ〉の化粧品売り場で、客としてたまたま居合わせた男が、若い女に粉をかける。 ミランダは二十二歳。大学卒業後、故郷のミシガンを離れ、ボストンの公共放送のラジオ局に勤めて...
収録作品:田中康夫『昔みたい』新潮文庫
芦屋市 平田 ヴェネチア サン・ミケーレ島 品川区 島津山 大井埠頭 世田谷区 深沢八丁目 伊豆山 蓬莱旅館 フランクフルト ホテル・ケンピンスキー 神戸 花隈町 名古屋市 八事 パリ ホテル・ル・ブリストル 千代田区 三番町 港区 伊皿子...
#027 田中康夫「伊豆山 蓬莱旅館」、古くて新しい実存的な問題
出戻りで子持ちの「私(江見由佳)」は、母と二人だけで旅行をする。宿泊は伊豆の老舗旅館 蓬莱。懐石膳(鰈とあいなめのお刺身、日本酒)を堪能し、就寝前に母娘で走り湯に入る。 「私」は、両親が勧める「信濃町にある医学部出身の内科医で二十八歳」の「...