この前の成人の日に、知り合いのO氏に誘われて、僕たち夫婦と三人で、名古屋市中村区大門町にある<LUMBINIカレーハウス>という名前のネパールカレー屋をおとずれた。
JR名古屋駅の西口から、ビックカメラとシネマスコーレの間の筋をしばらく真っ直ぐ歩いて行くと、昔の中村遊郭の界隈に出る。このあたりは、今でも古い遊郭の建物にその名残を見ることができるし、また現役の風俗店も点在していて、少々寂れた感とともに独特の気だるい猥雑感を醸し出している。
そんな旧中村遊郭の片隅にひっそりと、<LUMBINIカレーハウス>がある。Lumbiniというのは、釈迦が生まれたとされるネパールの小さな村の名前だ。仏教では、聖地の一つになっているらしい。
この店のシェフ兼オーナーのご主人と奥さんはネパールのポカラ出身のヒンズー教徒だ。おなじみのガネーシャなどとともに釈迦が祀ってある店内は、カウンターとテーブルがあるだけだが、居心地がいい。
炭火のタンドールで焼くナンと野菜や豆とチキンのカレーは、さっぱりしていて食べやすく美味しかった。定食はナンのお代わりが自由だが、それを知らずにカレーの残量とナンを食べる分を調節しそこねると、カレー不足に陥ってしまう。
実際、カレーを食べてしまってから、日本語の上手なご主人に「ナンのおかわりができますよ。どうですか?」と勧められて、「そうだったのですか。カレーを食べてしまったので」と残念そうに答えると、気前よくカレーのお代わりもサービスしてくれた。
自分が言うのもなんだけれど、そんなんで商売としてやっていけるのだろうかと、余計な心配をしながら、お代わりのカレーとナンをしっかりと平らげた。
この店を発見して教えてくれたO氏は、うちの奥さんがフィンランドに留学する直前まで勤めていた会社の元上司で、僕たちがフィンランドから帰ってきてからも、いろいろと気にかけて声をかけてくれる。
そのO氏が不思議な縁で知り合いになったネパール人のご夫婦がやっている店が、この<LUMBINIカレーハウス>だ。好奇心旺盛で、フットワークが軽いO氏だが、実は名古屋では安定企業として知られているそれなりに大きな会社の人である。O氏がどのようにして彼らと出会ったのかは謎だ。
名古屋の旧色街にある、仏教(および、ヒンズー教)の聖地の名前を冠したこのカレーハウスで美味しいカレーを食べるのは、なかなか乙なものだ。サモサも美味しかったが、次はモモという(本来はチベットの料理かも?)餃子のような肉まんのような料理も食べてみたいと思った。
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