PCのハードディスクにフィンランドの学校で撮った古い写真を見つける。かなり大雑把ではあるが、いちおうタンペレの地図だ。どうやら写真店の場所を示しているようである。フィンランド人の同級生の誰かが、ちぎった紙切れに描いてくれたのだろう。
– small, very professional
– a bit expensive
KUVA TARHA OY
自分は実際にこの写真店を訪れたのだろうか。記憶がはっきりしない。何を探していたのかも覚えていない。この写真があるということは、たぶん同級生の誰かに、写真店の場所をたずねたに違いないのだが。
何か思い出す手がかりになるのではないかと、グーグルマップで SOKOS の裏あたりから Satamakatu の通りをたどってみる。
タンペレに、かつて存在していたであろう KUVA TARHA OY は、どこにも見当たらなかった。
数日後、彼はクリーニングに出す服のポケットを探っていて、ローズバーグの町の地図を見つけた。どこに何があったかひとつひとつ思い出しながら、その地図をひとわたり眺めた。〈クイック・プリント〉、〈ダグラス・イン〉、カウスリップ・レインの家、メキシコ料理店、そのほか食事をした何軒かの店、銃砲店、見にいった売り家。
ローレンス・ブロック「名前はソルジャー」田口俊樹訳(『殺し屋』所収)二見文庫
みなずっと昔のことに思われた。ずっと昔のことに、ずっと遠くのことに思われた。
Lawrence Block, “Answers to Soldier” (1990)
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