フィンランドの国民学校で暮らし始めた頃、学食でご飯を食べる前には、食堂へ行く途中にあるトイレで手を洗っていた。校舎にはトイレ以外には手を洗う場所がなかったからだ。
フィンランドの人たちは、食事前はどこで手を洗っていたのだろう。食堂へ行く前に、彼らが手を洗うところを見たことがない。
あるいはそもそも、フィンランドでは食事前に手を洗う習慣がないのかもしれない。学校以外でも、食事の前にわざわざ手を洗ったりはしていなかったような気がする。
食事前だろうかなんだろうが、汚れた時に洗えばいいのだ、という合理的な考えなのかもしれない。
思い返すと、日本の小・中・高の学校の校庭や校舎内には、必ず各階に手を洗う場所があって、給食やお弁当の前には、みんな石鹸で手を洗っていた。
そういう環境で生まれ育ってきたにも関わらず、じきにフィンランドに慣れてしまい、ぼくも手を洗わなくなった。それで困ることも特になかったし。
随分以前のことだが、日本で半年ほど滞在したことのあるフィンランド人の友達から、「日本は、Hyper-hygienicだな」と皮肉っぽく言われたことがある。
気候や風土がまったく違うからね、とお茶を濁しておいたが、最近ますます衛生的になったかのような、Super-hyper-hygienic な日本を見たら、彼は何と言うだろう。
そういえば、フィンランドの教会(フィンランド福音ルター派)には、神社にある手水舎や御手洗場のような場所はなかった。
ご飯をいただく前の「手を洗う・洗わない」には、単に物質的なだけではない、精神のありかたにも関わる、神学論争にまで発展しそうな根の深い問題があるのかもしれない。
じつぷり
ヘルシンキのテンペリアウキオ教会はどうだったかな・・・。確認のためにも、また行きたい。
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