短篇小説 #027 田中康夫「伊豆山 蓬莱旅館」、古くて新しい実存的な問題 出戻りで子持ちの「私(江見由佳)」は、母と二人だけで旅行をする。宿泊は伊豆の老舗旅館 蓬莱。懐石膳(鰈とあいなめのお刺身、日本酒)を堪能し、就寝前に母娘で走り湯に入る。「私」は、両親が勧める「信濃町にある医学部出身の内科医で二十八歳」の「非... 2019.05.14 2024.12.09 短篇小説
短篇小説 #026 スティーヴン・キング「聾唖者」、キング式ダイエット 主人公の中年男性は、本のセールスマン。家庭の悩みをかかえている。読書週間のキャンペーンで販売先に向かう途中、雨の高速道路で聾唖者のヒッチハイカーをひろう。 2019.04.26 2023.11.08 短篇小説
短篇小説 #025 ジョー・ゴアズ「真紅の消防車」、虫や動物の比喩が楽しいハードボイルド 私立探偵社<DKA>ダン・カーニー探偵事務所の敏腕調査官パトリック・マイクル・オバノンは、「滞納金全額および経費を集金するか、ブツを回収せよ」という指示書にしたがい、2631ドル55セントの月賦金未納分として、マリン郡ラマララ・ヴァレー地区の真紅の消防車によじのぼり、 2019.04.25 2023.09.05 短篇小説
フィンランド 取っ手も温めます 行きつけのコーヒー豆専門店の豆箱の前で、いつものグアテマラを豆で注文し、支払いを済ませると、傍らのカウンターに席を勧められる。その場でマスターが淹れてくれたコーヒーを飲みながら話を聞かせてもらう。 2019.04.24 2024.10.10 フィンランド
日々 深呼吸をしたくなるアルフレッド・シスレーの青い空 Sky on Helsinki 2006ひとつの画布を私はいつも空から始める…私の好きな画家? 同時代に関して言えば、ドラクロワ、コロー、ミレー、ルソー、クールベが私の師匠である。みなが自然を愛し、力強く真摯に感じている。 アルフレッド・シ... 2019.04.12 2025.04.24 日々
日々 えびす様に向かって ヱビス 華みやび(サッポロビール)のえびす様小学新一年生の四月、授業初日のことをときどき思い出す。ぼくは授業中に突然席を立って、教卓にいたH先生に向かっていった。H先生は当時50歳ぐらいの男性教員で、ちょっとおなかの出っ張った丸っこくて大き... 2019.04.05 2023.11.08 日々
フィンランド ムーミンのハンカチで フィンランドと日本のちょっとした違いが気になるときがある。たとえば、日本ではよく鼻をすすっているのを見かけるが、フィンランドではほとんど見たことがない。 2019.04.02 2023.04.27 フィンランド
日々 ショーケンのショパン つい先日、もじゃもじゃヘアーが印象的なジャン=マルク・ルイサダのCDを自宅で聴いていたら、隣の部屋にいたうち奥さんが血相を変えてすっ飛んできた。すごく聞き覚えがあるが曲名は何かとたずねるので、ショパンの《ワルツ 10番ロ短調》と答えた。 2019.03.29 2025.04.24 日々
日々 Andrew Driftwood のジャケット 持っている唯一のジャケットだ。3年ほど前に、少し高価かなと思ったけれど、「あれこれ考えるのも面倒だ、これさえあれば、これからの人生でジャケットは買わなくてもいい」と思い、清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入した。 2019.03.28 2024.10.18 日々