三月のある夜、時刻は八時、バックハウスなる霊媒—心霊界では急速に頭角をあらわしはじめている星—がハンプステッドにあるモンタギュ・フォール邸、俗に〈プロランズ〉と呼ばれる屋敷の書斎に、案内されてきた。
デイヴィッド・リンゼイ『アルクトゥルスへの旅 上』荒俣宏訳 国書刊行会 昭和55年
David Lindsay, “A Voyage to Arcturus” (Methuen & Co. Ltd., 1920)
2003年の3月から4月にかけて1ヶ月ほど、夫婦でフィンランドとスウェーデンを旅したときのこと。
カペラゴーデン手工芸学校に、当時陶芸コースに在籍していた妻の従姉妹を訪ね、3週間程滞在していた。カペラゴーデンはカルマル同盟で有名な、スウェーデン、カルマル市から橋を渡ったエーランド島(Öland)にある。
滞在中のある週末、家具コースのアメリカ人男子とテキスタイルコースのスペイン人女子の若いカップルが、僕たち三人を昼食に招待してくれた。
メインの料理は彼女得意のタコス。彼がベジタリアンということで、肉ではなくソイミートが入っていた。ソイミートを食べたのは、その時が初めてだった。
フィンランドとスウェーデンでの旅の感想や、彼らのカペラゴーデンでの生活、ちょうど旅行中に勃発したイラク戦争などが話題になった。
僕の英語力にはかなり問題があったが、彼らがゆっくりと話してくれたのと、妻の従姉妹の助けもあって、なんとか話についていくことが出来た。
デザートもすみ、お茶をいただいていると、何かゲームをやろうということになった。ただ、みんながやり方を知っていて全員で遊べるゲームが見当たらない。
そこでアメリカ人の彼が、Ouija boardをやろう、と言い出した。妻と妻の従姉妹は、何それ?という顔をしていた。
ちょうど旅行に持参していたiPod(第2世代)にも入れてあった、モリッシーのシングル〈Ouija Board Ouija Board〉のことを思い出し、たぶんコックリさんみたいなものかなあと説明した。
それならできそうだ、やってみようということになった。専用のボードセットがなかったので、日本のコックリさん風にコインを取り出し、五人でテーブルを囲んだ。
あとで妻と妻の従姉妹から、普通の英単語はあまり知らないのにマイナーな単語は知っているんだね、と言われた。
たしかに、ロックやポップスの歌詞やタイトルに、普段の生活ではあまり役に立たなさそうな英単語を見かけることがある。そういう非実用的な単語ばかりを集めた単語帳を作ったら面白そうだ。本当に何の役にも立たないだろうけど。
遅い昼食会だったが、時が経つのも忘れてOuija Boardに耽ってしまい、気がついたときには外はだいぶ暗くなっていた。エーランド島に潜む、ヴァイキングの精霊に取り憑かれていたのかもしれない。
そのわりに、どんなことを占ったか、今はもう全然覚えていない。あの時、異国の地でそれぞれどんなことを想いながら、スウェーデン・クローナのカール・グスタフ王に指を添えていたのだろう。
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