じつぷり

短篇小説

#020 レイ・ブラッドベリ「階段をのぼって」、子供だった時のまま待っている

夜、畳に敷かれた布団に入り左側にからだを向けると、すぐ眼の前にガラスのふすまがあった。ガラスには宇宙の星々を思わせる模様があり、入側の外の街灯の光がガラスの星々の背後に重ねて映す庭木のゆらぐ影を、ぼんやりと眺めているうちに、ぼくは眠りに落ちるのだった。
フィンランド

ViiliとUkkoneの老婦人話

フィンランドにあって日本で見かけない食べ物がある。フィンランドのスーパーマーケットでは乳製品の冷蔵棚に出向けば必ず見つけることができるその発酵食品と出会ったのは、フィンランドを初めて訪れたときのことだった。
フィンランド

ヘルシンキの外国人

ヘルシンキのホテルで宿泊拒否にあいそうになったことがある。中央駅近くにあるホステルのような小さなところでの、ささいな出来事だったが、いまだに印象に残っている。
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フィンランド

レーニンの貯金箱

Bookshop Tampere Finland 2013小銭入れに500円玉を見つけると、ちゃりんちゃりん、と貯金箱に放り込んでいる。陶製の赤い郵便ポストの形をした貯金箱だ。以前、郵便局で貯金口座を開いたときにもらった。貯金箱には、テープ...
日々

やっぱり『積みわら』で

ちょっと前に、名古屋市美術館でモネの『積みわら』をみた。『積みわら』というタイトルだが、本当はわらではない。脱穀前の麦の穂を積み重ねたものらしい。図録にそうあった。紡錘形に頭の尖った「積みわら」の大きのと小さいのが二つ、夕暮れ時のフランスの...
日々

希望的観測

夜道を歩いてたら、小さな黒い物体が足元をススーと横切った。あっ、と思って立ち止まった。たぶんGだ。でもひょっとしたらコオロギかもしれない。「今Gが横切ったよ」一緒にいたうちの奥さんが、ぼくの希望的観測を打ち砕いてくれた。やっぱりか。今年の初...
フィンランド

ヘルシンキのセルフレジ

「君に見せたいものがあるんだ。とても日本的なものなんだよ。何だと思う? 雪橇をやった後そこへ行こう」とJ.Rがニヤリとしていった。2012年にフィンランドを訪れたときのことだった。
フィンランド

フィンランドと日本、2016年のGDP・総資本形成・生産年齢人口(対1997年比)

 1997年(約20年前)と比べて、生産年齢人口は、日本が12%減、フィンランドは6%減だ。GDP(名目)は、フィンランドが1.88倍。一方、日本はたったの1.12倍と、この20年ほとんど増えていない。
短篇小説

#019 H・E・ベイツ「歌う猫」、猫のスージーが歌うシューベルト

そしてついには、すりつぶして油でいためた玉葱とソーセージ、アップルパイとクリームといった盛りだくさんな昼食をとったあと彼のアパートの古い揺り椅子にかけたまま眠りこみ、ふと目覚めると、飼い猫のスージーがシューベルトの『ディー・フォレレ』──つ...
日々

ツバメのまなざし

……「たとえば、わたくしたちツバメは、巣をつくった家の壁に、あとからやってくるツバメへの伝言として、いつものしるしを書き残します。これをごらんください。」とスキマーは、先生の足もとの砂の上に、いくつかの十文字やしるしをつけました。「これは、...
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