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祖父母の冷蔵庫に残っていたヤクルト

日々
ヤクルトの空になった容器
ヤクルトの空になった容器

近所に住んでいた祖父母の家には、狭い台所に小さな冷蔵庫があった。そこにはいつも、少しだけ期限切れになったヤクルトが何本も残っていた。

子供の頃、遊びに行く度に「冷蔵庫の中にヤクルトがあるで、全部飲んでくれんかな。残してあるとおじいさんが、もったいないと言って怒らっせるで」と、祖母は余ったヤクルトの処理を僕に任せるのであった。

ヤクルトは大好きだったし、一度に5、6本ぐらい飲むのは平気だったから、喜んでその役目を引き受けていた。祖父は酒飲みで甘いものは好まなかったし、からだが細くて小さな祖母は、1本を飲み切ることができなかったみたいだけれど、子供の自分からすると、祖父母がヤクルトを飲まないことがちょっと不思議に思えた。

でもなぜ、祖父母はヤクルトを買っていたのだろう。ひょっとしたら、僕が来る時のために取って置いてくれていたのだろうか。ヤクルトの期限が切れていたのは、僕がその間、祖父母の家を訪れていなかった証拠だったのかもしれない。

今年の夏頃から、なんとなく思い立ってヤクルトを宅配で購入するようになった。宅配でしか飲めない「ヤクルト400」という商品があって、そこには代田博士が開発した、シロタ株という乳酸菌が、少なくとも約400億個含まれているらしい。スーパーで普通に売っているヤクルトには200億個しか入っていないそうなので、宅配で購入する価値がある、とのこと。それに配達してもらったほうが楽でもあるし。

でも、400億個とか200億個とかすごい数だ。シロタ株がどんなものかはわからないが、小さな容器の中にそんなに入るものだなと感心した。

ちなみに、「ヤクルト(Yakult)」というのは、エスペラント語でヨーグルトを意味する造語らしい。ヤクルトレディからもらった、漫画冊子の『ヤクルトの父 代田稔物語』にそう書いてあった。

なるほど、なんとなく発音が似ているかも。エスペラント語がこんなに身近にあったなんて。ちなみに「ヨーグルト」は古いトルコ語が由来だそうだ。

シロタ株のことやエスペラント語だとか、大人になってから知ることが多い。でもそれよりも、僕が祖父母のところに遊びに来るのを期待して、祖父母が僕の大好きなヤクルトを冷蔵庫に用意していてくれたかもしれないことに、思い違いだとしても、気づいていればよかったなと思う。

今度お墓詣りするときは、ヤクルトを持って行って、お供えしてしようと思った。ただし、賞味期限の切れていないものを。

だからというわけではないが、最近、ヤクルトスワローズのことが気になる。ちょうど今年はヤクルトスワローズがセリーグで優勝して、さらに日本シリーズにも進出している。

この勢いで日本一になって、ヤクルトがセールでもやらないかなと密かに期待していたら、ソフトバンクに二連敗した。にわかファンだけれど、なんだか悔しい。


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