短篇小説 #049 ハインリヒ・フォン・クライスト「ロカルノの女乞食」、女幽霊の跫音 ハインリヒ・フォン・クライスト「ロカルノの女乞食」種村季弘訳 イギリス南部のリゾート地、バースを舞台にしたロアルド・ダールの「女主人」では、生きている女が恐ろしいと思ったが、やっぱり女の幽霊も恐い。 この短篇小説の舞台はスイス南部のリゾート... 2023.11.09 2024.10.11 短篇小説
短篇小説 #045 尾崎翠「松林」、小さな松毬のような踝 Ankle, 『しぐさの英語表現辞典』小林祐子著 画:改田昌直、クロイワ・カズ、研究社 おそらく初夏の黄昏時、浜つづきの松林を彼とペツトの犬(太郎)がじゃれ合いながら散歩をして、帰っていく。 それだけではない。黄昏時の浜辺に犬、である。何か... 2022.12.10 2024.10.11 短篇小説
短篇小説 #044 大江健三郎「奇妙な仕事」、ふくらはぎを指の腹で Leg, 『しぐさの英語表現辞典』小林祐子著 画:改田昌直、クロイワ・カズ、研究社 三月の終わりに附属病院がアルバイトを募集している。実験用に飼っていた犬150匹を処分する仕事だ。この大学の学生である「僕」と女子学生、私大生、犬殺しの四人が... 2022.12.08 2024.10.11 短篇小説
短篇小説 #040 H・E・ベイツ「ロスト・ボール」、ビリー・ホリデイを聴きながら 伊勢湾 2018 隣接するゴルフコースから、ロストボールを探しにきた男、フィリップス(52才)は、海辺の砂丘で、白い砂のくぼみに埋まるように、全身をちぢこめて横になっている若い女に遭遇する。 朝から一日中ここにいたけれど、ゴルフボールなど見... 2020.12.25 2024.11.20 短篇小説
短篇小説 #022 ジュンパ・ラヒリ「ピルザダさんが食事に来たころ」、ハロウィーンのプルースト Tampere Finland 2003 小津安二郎の映画のような低い位置にあるリリアの目線が、ピルザダさんの扁平足と蟹股の脚を映し出す。加えて、シャーロック・ホームズの観察眼で、コートのポケットに樺や楓の葉っぱを発見し、靴の爪先や踵に付い... 2018.10.23 2023.09.05 短篇小説
短篇小説 #004 ピエール・ガスカール「小さな広場」、指先でぷにゅっとしたくなる 新明解国語辞典 第五版(小型版) フランスの小説家、ピエール・ガスカールの短編小説「小さな広場」を読んでいたら「膕」という漢字がでてきた。 ぼくはよく彼女の通り道で土いじりをしていたので、彼女の踵が顔すれすれに土を踏みしめたり、黒いスカート... 2015.07.29 2023.10.02 短篇小説