夜、薄暗い廊下で、エアーバタ足で泳ぐ妻とぶつかりそうになった。
夜間は遊泳禁止です、と注意したら、ザブンとエアー飛び込みをしてエアー潜水で姿をくらました。
“Maybe I don’t like myself.” Then, abruptly: “The hell with it. Let’s swim.”
He saw her poise for a moment on the edge and then arch and knife cleanly into the dark water. He plunged in after her, expecting to tread water and splash around in the dark.
Budd Schulberg, “The Dare” (Esquire, 1949)
「たぶん自分が好きじゃないの」
それから彼女は唐突に会話にけりをつけた。「しらけちゃったわね、泳ぎましょう」
ジェリーは突堤の縁ですっと身構え、弧を描いて暗い海にきれいに飛び込んだ。それを見送ったあと、ポールもつづいて飛び込んだ。真っ暗な海で適当に水遊びをするつもりだった。
バッド・シュールバーグ「挑戦」門野集 訳(『短編ミステリの二百年2』所収)創元推理文庫
コメント