このまえMUJIで羽根まくらの感触を確かめていたら、「その枕、どうですか?」と声がした。振り返ったら、死角の位置に品の良いおばあさんが立っている。80才ぐらいだろうか。いつからいたんだろう。気配をまったく感じなかった。
「これはいくらなの?」
「あー、千円ぐらいです」
「安いのね、一万円以上するのもあるでしょ」
「これは中国製、ですね」
「しっくりするのがなくってね、首が痛くなってしまって……」
「まあ普通の羽根まくらですけれど……」
よく見たら、おばあさんの背後にもう一人女性がいた。ウンウンと力強くうなずいている。義母の買い物に付き合う嫁、といったところか。
「個人差もあるし使ってみないことにはなんとも……」と云って、おばあさんとのピロートークを打ち切りその場を離れた。
5分ほどしてまた枕をふかふかと触ってみた。安いし、まあ使ってみようと思い、枕を抱えてレジに向かった。
さっきの二人連れは迷っている客の背中を押すというスキルで、MUJIから雇われている超ベテランの覆面店員とその部下、などではなく、義母と嫁だろうな、やっぱり。
じつぷり
店頭では990円(税込)だった。ネットショップの方が高いのはなぜだろう。
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