2004年、フィンランド南部の国民学校にいたときのこと。
あるとき、初級フィンランド語の授業で兵役のことが話題になった。
フィンランドは男子に兵役義務があってね、ものにもよるけれど期間は半年から1年ぐらいです。あなた達の国はどうですか、と先生がぼくたちに質問した。
スウェーデンは1年ぐらい、トルコやロシア、ブラジルも同じ、フランスは今は義務はなくてプロフェッショナルな軍隊、日本も同じだよね、まあだいたいそうです、軍隊というか自衛隊とうものであって、云々。
他にも、リトアニアはどうのイラクはこうのと、わいわいがやがや、となっていた中で誰かが、中国は? と呟くと、教室にいた中国人の女子にザッと注目が集まった。
とても短い、と彼女がにこやかに答えると、へぇ、いいなあ、と場の空気が和んだかに見えたそこへ誰かが、でどれくらい?と尋ねた。
3年。
一転、場が凍った。3年って、全然短くないだろ、長いよ、話聞いとったんかい、中国怖ぇー、と教室中がいっきにざわついた。
場の温度差に怯んだ当の中国人女子は、なんか変なこと言った?ワタシ、と困惑したような開き直ったような目つきに変わっていた。
彼女の言ったことが事実として正しいかどうか、ぼくには未だ知る由もない。それに、兵役義務のない日本からみれば、1年だろうと3年だろうと大差ない。日本人に生まれたことに安堵した瞬間だった。
コメント