日々

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夢見を誘うラヴ・ストーリー、カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』Kazuo Ishiguro: The Buried Giant

Öland, Sweden 2003 『わたしを離さないで』から十年ぶりの新作となる、カズオ・イシグロの小説『忘れられた巨人』を読んだ。アーサー王伝説時代のブリテン島を舞台に、老夫婦がおぼろげな記憶をたよりに息子を訪ねて旅をするという物語だ...
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『セッション(Whiplash)』のフレッチャー vs. 『セロ弾きのゴーシュ』の狸の子

Tampere, Finland 2003 去年から、うちの奥さんがマヨネーズを自分で作るようになった。市販のマヨネーズが嫌いな僕のために、というわけではなく、美味しいポテトサラダを食べたいという、彼女の食い意地を出発点とした習慣だ。自家製...
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祖父母の冷蔵庫に残っていたヤクルト

ヤクルトの空になった容器近所に住んでいた祖父母の家には、狭い台所に小さな冷蔵庫があった。そこにはいつも、少しだけ期限切れになったヤクルトが何本も残っていた。子供の頃、遊びに行く度に「冷蔵庫の中にヤクルトがあるで、全部飲んでくれんかな。残して...
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堀田善衛「プロクルステスの寝台」 『天上大風』所収 ちくま学芸文庫

天上大風ある作家との出会いがいつだったかをはっきりと憶えている場合がある。もちろんその作家が書いた書物を通してという意味で。例えば、コナン・ドイルとは、小学6年生の夏休みに、6才ぐらい上の従兄弟の本棚に『シャーロック・ホームズの冒険』を偶然...
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グレー色の空

keskiharmaa色という色、形という形がパールグレーの靄(もや)に溶け、明暗も色の濃淡も失われて、輪郭の定かならぬ、光だけが息づく階調が存在するようになるのです。すべてがおぼろに霞む中で、ほんの一瞬なにかの影がふっと浮かび上がるー今で...
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山下清『ヨーロッパぶらりぶらり』ちくま文庫

世の中には飛行機に乗って旅をするのが好きな人と嫌いな人の二種類のタイプ人間がいる、と思う時がある。ヴィム・ヴェンダース監督の映画『パリ、テキサス』の中で、ハリー・ディーン・スタントンが演ずる主人公のトラヴィスは飛行機に乗るのが大嫌いだ。映画...
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記憶の金接ぎ

Muumi Mug10代の頃から30代後半ぐらいまでは、映画館でよく映画を観ていた。ロードショー系、ミニシアター系問わず、映画館にはしょっちゅう足を運んでは真っ暗な中でスクリーンに投影される映像の物語に身を沈めていた。最近は以前ほどひんぱん...
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図書館で本を借りる理由

中央図書館読んでいるのは図書館から間違えて借りてきた本だった。頼んだのとは違う本を渡されたわけだけど、部屋に戻ってくるまでその間違いに気づかなかった。僕が受け取ったのはイサク・ディネセンの『アフリカの日々』だった。どうせろくでもない本なんだ...
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三月の雨(Águas de Março)

人見知りのする飼い猫が、来客があるといつの間にか、外へ出かけて行ってしまうように、知らないうちに三月は過ぎ去ってしまう。今日は三月最後の日曜日で、朝からポツンポツンと雨が降っている。エリス・レジーナ(Elis Regina)とアントニオ・カ...
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「校長先生の儀式」で必死に笑いをこらえた思い出

広告代理店に勤める友人から問いた話。或る打ち合わせの席上で、クライアントが理不尽なことを云い出した。彼らの意向に従って修正したプランを、前言を覆すかたちで否定されたのである。友人は我慢したが、隣にいた同僚は堪えかねて叫んでしまった。 「でも...
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