勝手な思い込みから勘違いして、後になってぜんぜん違うことに気がつき、恥ずかしい思いをすることがよくある。
アラビアのファクトリーショップのワゴンセールで安く買ったムーミンボウル。ムーミンママが放り投げている白い物体が以前から謎だった。柔らかそうな白くて丸いパン? あるいはフィンランドの饅頭のようなも? などと勝手に想像していたのだが、最近トーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の冬』を読んでいて、それがまったくの勘違いだということに気がついた。
ママは、雪をすこし手にとって、雪玉をこしらえました。それからママは、おかあさんたちがよくやるように、それを下からほうりなげました。雪玉は、ほんのちょっととんだだけで、ボシャンとおちました。
トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の冬』山室静・訳 講談社 青い鳥文庫
「だめね。いぬのめそめそだって、もうちょっとはじょうずになげるでしょうにね。」
ママは、こういってわらいました。
「ママ、ぼく、とってもとっても、ママが大すきさ。」
と、ムーミントロールはいいました。
丸くて白いのは雪球で、ムーミンママが下からほうり投げていたのだった。いぬのめそめそ以下だ、と言ってわらうママ。そのママのことが大好きなムーミントロール。こんな物語がこのムーミンボウルの絵の背後にあったとは。
トーベ・ヤンソンはスウェーデン系フィンランド人(Suomenruotsalainen)。スウェーデン語が母国語の人なので『ムーミンシリーズ』も原作はスウェーデン語で書かれている。1966年に国際アンデルセン賞を受賞している。
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