小説や映画の中で「フィンランド」という単語を見つけたり聞いたりすると嬉しくなる。それが全く予期していない時はなおさらに。最近初めてトマス・ピンチョンの『ヴァインランド』を読んだ。その中で「フィンランド」が出てくるのは、気がついた限りでは一回だけ。
「AKを模造したフィンランド製の小型ライフルの仕入れ先、ぼく知ってるんですけど、値段聞いておきますか? でもキット・コンバーションはそっちでやってくださいよ。あとコントラコスタまで取りに行くのも」
トマス・ピンチョン『ヴァインランド』佐藤良明 訳 河出書房新社
VINELAND: Thomas Pynchon
バルト諸国まで迫るドイツ・ナチスを経験し、スターリンのソ連が陸続きで国境を接していたことのあるフィンランドの人々なら、「AKを模造したライフル」を作るぐらいのしたたかさを持ち合わせていても不思議はない、とピンチョンも思ったのだろうか。
『ヴァインランド』はピンチョンの小説にしては短い方に属するが、それでも分量がある。にもかかわらず三日で読んでしまった。この調子なら『V.』とか『重力の虹』も読めるのではないか。
今までの「ピンチョンは長い、難しい、とっつきにくい」というなんとなくの食わず嫌いが、一転、妙に気になる存在になってきた。遅まきながら私的ピンチョンブーム到来の気配である。
フィンランドで使っていた旧式のNokia携帯はロシア製だ。2005年頃にロシア人の友人にサンクトペテルブルグかどこかで買ってきてもらった。友人に払った代金は、60ユーロぐらいだったろうか。
2年ほど前にフィンランドに行った時も、R-kioskiでSIMカードとプリペイドカードを購入して、このロシア製のNokiaを利用した。凍った湖の上で遭難しそうになっととき、Nokiaの携帯電話のおかげで命拾いした。僕にとって必要なのは、AKではなく、やっぱりNokiaだ。
最近は日本でも、SIMフリーのiPhone 6が発売されたりして、通信環境が変わってきているので、ひょっとしたら僕のNoikia携帯も使えるのかもしれない。まあでも充電コードのプラグがフィンランド式なので、日本では充電ができない。充電のためだけにフィンランドに行くわけにもいかないし。手間のかかることだなあ。
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