大きくて重い。まるで石のようだ。名古屋市図書館の定期図書整理で、『石を聞く肖像』木之下 晃著、が放出されていた。
公共の図書館は公的な積読施設だと思っていたのだが、最近は積読本の民営化が進んでいる。
こういう本こそ図書館で積んでおいてもらいたいのに民間へ丸投げだ。
モーゼがシナイ山で神から授かった石板は二枚あったらしい。最初の一枚はモーゼ自身で叩き割ったと、出エジプト記に記されているが、きっと重たくて担いでいるのが嫌になったからに違いない。
「主よ、あなたの言わんとすることはわかったので、そちらで積んどいてくれませんか、時々閲覧に来ますから」とモーゼとしてはヤハウェに言いたかったのではないだろうか。
今、モーゼの気持ちがわかったような気がした。
ところで、もう一枚の石板はどうなったのだろう。どこかでひっそりと積読されているのだろうか。
これは完璧な美しさ。
『石を聞く肖像』木之下 晃 飛鳥新社
TORU TAKEMITSU
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