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丸善・名古屋本店に行く。
5階にある人文書のコーナーで、『私のティーアガルテン行』平出隆(著)を手にとり、レジのある1階までエレベーターで降りる。
若い男性店員が本のバーコードをセンサーにかざす。
ピッ、といって金額が表示された。
「27,480円です」
え?
店員の表情は真顔だ。
このたぐいの本は高い。でもこんなに?
棚で見たときは、税込みで3,000円ぐらいだった。
あるいは、エレベーターで5階から1階へ降りてくる間に、本の値段が10倍のパラレルワールドに足を踏み入れてしまったのだろうか。
そうでなければ、レジの人が大阪人で、冗談を言ったとか。
何かに気づいた店員がごそごそやりはじめた。
「すみません、2,970円でした」
悪夢から目覚めたときのようにホッとした。
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