いわゆるファーストコンタクトもの。ただし、地球人が宇宙人に、ではなく、宇宙人の少年の猫との遭遇話。
Wonderment suffused his face.
Robert F. Young, “A Pattern for Penelope” (If, 1954)
“Why”, he said, “it makes a noise!”
“She’s purring!” Miss Haskell said. “For heaven’s sake, didn’t you ever hear a cat purr before? Are you a city boy?”
少年の顔がとつぜん驚きに輝いた。「ふしぎだ、音を出してる!」
ロバート・F・ヤング「ピネロピへの贈り物」伊藤典夫 訳(『ジョナサンと宇宙クジラ』所収)ハヤカワ文庫
「のどを鳴らしているだけですよ! あなた、猫がのどを鳴らすのも聞いたことがないの? あなたは都会の子?」
65才の元小学校教師、ミス・アビゲイル・ハスケルは、ミルクが大好物の猫のピネロピとマサチューセッツ州ニューイングランドで慎ましく暮らしている。
1956年2月1日、そんな彼女の前に宇宙人のオテリス少年が突然現れる。「猫」の概念すらないオテリスの膝にペネロペがとびのり、ゴロゴロとのどを鳴らしはじめたとき、彼の心と宇宙全体に何か大きな変化があったようだ。
猫を膝にのせてこの短篇小説を読むことができたらな、と思う。きっと、心と膝の上があたたまるにちがいない。猫とSFが好きな人には必読の短篇小説だ。
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