近未来のゼーム氏もの。主婦、部長、バーのママなどと会話しているようで、実際は、肩の上のインコ型ガジェットにつぶやいているだけのゼーム氏。そうすると、インコが状況に応じて、あるときは雄弁に、あるときは手短に要約して言い換えてくれる。
このインコはロボットなのだ。なかには精巧な電子装置と、発声器と、スピーカーを備えている。そして、持ち主のつぶやいたことを、さらにくわしくして相手に伝える働きを持っている。
星新一「肩の上の秘書」(『ボッコちゃん』所収)新潮文庫
今話題のAIみたいだ。それにしても、なんというものぐさ。でも結局、セールスをしたり説教をされたり気晴らしをしたりと、やっていることは大して代わり映えしない。
50年ほど前に書かれた小説だが、2023年の現在、時代が追いつき追い抜いていこうとしている。星新一のテクノロジーの発達に対するシニカルな視点と、人間に対する業の肯定がある作品だ。
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