Somatosensory

日々

シャーロック・ホームズとツバメノート

ツバメノートとバスカヴィル家の犬 延原謙の訳によるシャーロック・ホームズを読み始めたのは、中学生になるかならないかの頃だった。 お小遣いを掴んで、駅前の書店まで出かけては、背表紙が空色の、久野純によるカバーデザインの新潮文庫を一冊一冊買い集...
日々

テーブルの猫耳

テーブルの端っこに猫耳がある。耳の形と大きいところが昔飼っていたのにそっくりだ。隠れたつもりが耳だけ出ている。耳なし芳一みたいな奴。 20世紀の終わり頃に、東急ハンズでパイン合板の天板と脚を買ってきて自分で作った。四半世紀たった去年まで、こ
日々

歯医者いらずなソニッケアー

フィリップスの電動歯ブラシを長年使っている。10年ぐらい前に、かかりつけの歯医者の先生が勧めてくれたのがきっかけだった。 日本のメーカー品より少々お高いし、替えブラシも安くないような気がしたが、せっかくなので使ってみようと思った。あるとき、...
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日々

オラオラ系ニセアカシア

「この樹木は、不健全なので、近日中に伐採いたします。」 樹木が不健全とはどういうことなのだろう。 日サロ顔で無精髭のニセアカシアが、ヒョウ柄シャツをひっかけて夜中の緑道をオラついているところを想像する。それで近隣の植物たちも迷惑している、と...
短篇小説

#044 大江健三郎「奇妙な仕事」、ふくらはぎを指の腹で

Leg, 『しぐさの英語表現辞典』小林祐子著 画:改田昌直、クロイワ・カズ、研究社 三月の終わりに附属病院がアルバイトを募集している。実験用に飼っていた犬150匹を処分する仕事だ。この大学の学生である「僕」と女子学生、私大生、犬殺しの四人が...
フィンランド

Lammassaariで羊に足を舐められる

View from Lammassaari, Helsinki Finland, Kesäkuu 2006 ヘルシンキには、フィンランド語で羊の島という意味のLammassaariという自然公園がある。ヘルシンキ中央駅から確か6番のトラムで...
日々

地域ビト

平沢進の曲は「地球ネコ」だが、近所にいるのは地域ネコだ。地域ネコは、ヒトの都合にあわせていろいろと処置を施される。片耳の先がちょっと欠けているのがその印だ。野良ネコ時代より活動範囲が狭くなるのだろうか、いつも同じ所でゴロついている。
日々

ボールペンのJAPAN

ボールペンに刻印されたJAPANの文字を探して暇つぶしをすることがある。縦横斜めに矯めつ眇めつ、無心になってJAPANの刻印を探す。
短篇小説

#042 ロアルド・ダール「おとなしい凶器」、メリーさんのアイロニー

Öland Sweden 2003 木曜日の午後5時、子羊のように善良で従順な妻メリー・マロウ二(Mary Maloney)は、夫パトリックが仕事から帰ってくるのを待ちわびている。家は暖かく整えられている。妻は妊娠6ヶ月。警察官の夫を尊敬し...
短篇小説

#028 ロアルド・ダール「女主人」、皮膚を刺激する

Dachshund 田中康夫の「伊豆山 蓬莱旅館」で母と娘が訪れたのは、伊豆のリゾート地にある老舗旅館だった。ロアルド・ダールの短篇小説「女主人」の舞台は、イングランド有数の温泉処でリゾート地のバースだ。 English text Bill...
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