
土曜日の昼前のこと。部屋の窓から雲の行方を眺めていたら、
近所の小学校が終わって、わーわーぎゃーぎゃー子供たちが出てくるのが聞こえてきた。
そのなかの低学年と思しき二人の男子が、曲がり角のところに来て別れたのだろう。
じゃあね じゃあね
ばいばーい ばいばーい
あとでね あとでね
ばいばーい ばいばーい
二つのボーイソプラノによるレチタティーヴォが聞こえる。
小学男子がよくやる帰り道の儀式だ。
二人のばいばーいがだんだん離れていき、声が大きくなって、
ゔぁいゔあーーい! ゔぁーいゔあ ーーい゙!
おどけてたような叫び声になる。
ゔぁーいーゔぁーいーー!
最後のばいばーいのあと、あたりがシーンとなった。
天使が通り過ぎたかのよう。
本当に天使たちだったのかも。
天使たちの儀式。
子供は子供だった頃
腕をブラブラさせ
小川は川になれ 川は海になれ
水たまりは海になれ と思った子供は子供だった頃
自分が子供とは知らず
すべてに魂があり 魂はひとつと思ったAls das Kind Kind war,
ging es mit hängenden Armen,
wollte der Bach sei ein Fluß,
der Fluß sei ein Strom,
und diese Pfütze das Meer.Als das Kind Kind war,
子供の頃の歌
wußte es nicht, daß es Kind war,
alles war ihm beseelt,
und alle Seelen waren eins.
ペーター・ハントケ
映画 『ベルリン・天使の詩』より抜粋
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